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第1290号(平成27年6月5日) |
5月20日
医療安全対策委員会 中間答申まとまる
左から横倉会長,
平松広島県医師会長,今村常任理事 |
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今村定臣常任理事は,医療安全対策委員会が,会長諮問「医療事故調査制度において医師会が果たすべき役割について」を受け,六回の委員会を開催して検討を重ね,本年十月の制度開始に向けて中間答申として取りまとめ,四月三十日に,平松恵一委員長(広島県医師会長)から横倉義武会長に提出(写真右)したことを報告した上で,その概要を説明した.
中間答申「医療事故調査制度における医師会の役割について」は,一.はじめに,二.都道府県医師会が具体的に果たすべき役割,三.都道府県医師会としての準備事項,四.「第三者機関(センター)」との連携・協力,五.日本医師会が具体的に果たすべき役割,六.おわりに─からなっている.
「医師会が果たすべき役割」という諮問については,一の「【諮問】及び【諮問の趣旨】」において,「医療事故調査制度の中で,特に中小医療機関における院内医療事故調査活動において,都道府県医師会,郡市区等医師会など,全ての『医師会組織』がどのような体制を構築していくべきか,それを日医から全国の医師会組織に発信していくための材料を策定するということ」としている.
二では,都道府県医師会には,どのような役割が期待されているのかを検討し,三では,具体的に都道府県医師会に,どのような対応,取り組みを進めてもらう必要があるのかを指摘.四では,院内調査の支援に際しては,医療事故調査・支援センターとの連携や協力関係が必要となるが,この点はセンターの指定がなされた後に,具体的に検討すべきであるとしている.
五では,医師会組織全体,あるいは医療事故調査制度全体,更には本制度を超えるさまざまな問題についても,日医として,今後取り組むべき旨が提言されている.
特に,二の都道府県医師会が具体的に果たすべき役割については,「全ての都道県医師会は,医療事故調査制度施行時から,医療事故調査等支援団体としての中核的な役割を果たすべきである」としており,具体的な支援の内容として,
(ア)相談窓口機能
(イ)院内事故調査委員会への支援(医師会の紹介,斡旋(あっせん)による外部委員の参加については地域の学会,医会と連携をもつこと,Ai,解剖,遺体搬送,遺体保管等を実施可能な施設,業者との連絡体制をもつこと)
(ウ)院内調査結果の「第三者機関(センター)」への報告の支援(報告書の作成など),(エ)遺族への説明の支援─等を挙げている.
三では,
(一)「地域での医療事故調査に活用できる資源の把握と連携関係の構築」(協力が期待できる大学・学会・医会等の病理医,診療専門医,Ai・解剖施設,基幹病院等の施設の規模,能力,マンパワー等の正確な情報を早急に把握すること)
(二)「医師会内での人材育成及び体制整備」(センターへの報告,院内調査が必要かどうかなどの相談に迅速,的確に対応できる役職員の育成と継続教育,更には院内調査を遂行できる病理医,診療専門医の専門チームを複数編成すること)
(三)「会員,地域住民への周知」
(四)「常設の支援組織の設置」(医師会内の支援組織としては,調査支援に派遣する委員の選定や支援の検証を行うこと,県内の支援団体間の連携組織としては,医師会以外の支援組織との間の支援内容,基準等の統一などを行うこと)
(五)「各ブロックにおける広域的取組」
─などを,都道府県医師会としての準備事項として具体的に提言している.
六では,(1)院内調査の標準的な手法,体制と支援のあり方(2)調査報告書の作成のあり方(3)医療事故調査の専門的な知識,技能をもった人材の育成─などが,今後検討すべき課題として挙げられている.
同常任理事は,既に五月開催の委員会から,これらの論点についての検討に着手し,今後,十月に制度が開始されるまでに,再度中間答申をまとめる方向で検討を進めてもらっていることを明らかにした上で,「日医としてもこれらの提言をいち早く,全国の医師会組織,会員と共有し,制度の円滑な実施,すなわち十分な事故調査と医療安全の向上が図られる制度の実現に最大の努力を傾けていきたい」と抱負を語った.
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