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第1296号(平成27年9月5日) |
社会保険診療報酬検討委員会答申まとまる
平成26年度診療報酬改定を総括しその改善策を提言
左から、横倉会長、
太田栃木県医師会長、松本常任理事 |
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社会保険診療報酬検討委員会の答申がこの程まとまり、担当の松本純一常任理事同席の下、7月21日に太田照男委員長(栃木県医師会長)から横倉義武会長に提出された。
同委員会では、横倉会長より、(1)平成26年度診療報酬改定の評価、(2)現在の診療報酬における問題点とその対応─の2点について諮問を受けているが、今回の答申は、(1)について集中的に審議を行い、取りまとめたものである。
その内容は、「はじめに」「各論」「おわりに」の3部構成となっており、「各論」では、(1)基本診療料(外来)(2)基本診療料(入院)(3)医学管理(4)在宅医療(5)検査、画像診断(6)投薬(7)リハビリテーション、処置(8)手術─の項目ごとに、平成26年度改定における問題点を挙げ、その改善策を提言している。
「はじめに」では、平成26年度の診療報酬改定について、消費税引き上げに伴う補てん分のほとんどが、医師の技術料の根幹である基本診療料の引き上げ分に重点配分されたことを評価する一方、「消費税引き上げに伴う補てん分を除けば実質マイナス改定であること」「薬価引き下げ財源が診療報酬本体の改定財源に使われなかったこと」を問題視。特に、薬価引き下げ財源の問題については、(1)技術料の評価のあり方も議論されず、財源論のみから決定されたこと(2)「診療報酬そのものの議論と消費税対応議論とは厳密に峻別(しゅんべつ)して行うべき」という中医協の意見を完全に無視して行われたこと─は問題であるとし、今後このようなことは決して繰り返されてはならないとしている。
「各論」では、基本診療料のうち、外来の機能分化の観点から新設された「地域包括診療加算」について、「かかりつけ医機能」に点数が設けられたこと、7種類以上の内服薬が点数の逓減から除外されたこと、研修要件に日医の生涯教育の単位取得が含まれていることを評価する一方、在宅医療に偏った主治医機能となっていることを指摘している。
入院基本料については、「7対1入院基本料の病床を削減するため、多くの仕掛けが設定された」としている。また、在宅復帰率が療養病床にも加算として導入され、在宅復帰支援型等の介護老人保健施設との連携の流れを無理につくったことで、この流れに乗れない病院や介護老人保健施設の経営が危惧されるとした。
また、「重症度、医療・看護必要度」は、本来ICUにおける重症度を見るために作成されたもので、一般病棟の重症度を測るには、臨床現場の立場から見て極めて違和感があると強調。その上で、7対1入院基本料の病床削減を目的に診療報酬改定を行うことは医療の質の向上に資するものではないとして、急性期、回復期、慢性期等、各病期における医療のあるべき姿を論じ、診療報酬体系を構築することが肝要であるとしている。
在宅医療については、社会問題化した「紹介ビジネス」に懲罰とも言える措置が取られた結果、真摯(しんし)に在宅医療に取り組んでいる医療機関にも不利益をもたらしたとして、不適切事例には診療報酬ではなく、適時調査、個別指導等で行政的に対応すべきだとした。
また、強化型在支診・在支病への過剰な点数配分は特に都市部でモラルハザードを引き起こす恐れがある他、在支診の要件を満たせない地方の診療所が24時間対応をせざるを得ない実情があるとして、一般診療所との格差是正を求めている。
強化型在支診の施設基準要件に在宅看取りの件数が入れられたことに対しては、小児科では在宅看取りが少ないなど、必ずしも在宅医療機能と合致するものではないとして、人工呼吸管理実績を算定要件にすべきだと提案している。
なお、同委員会では、次期(平成28年度)診療報酬改定への要望書を8月中に取りまとめる予定で、現在議論を継続中であり、その後、諮問の(2)についても審議を行い、年内に答申する予定である。
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