|
第1296号(平成27年9月5日) |
8月5日
感染症対策に資するBSL4施設の稼動を高く評価
小森貴常任理事は、8月3日に行われた塩崎恭久厚生労働大臣と藤野勝武蔵村山市長との会談において、国立感染症研究所村山庁舎のBSL(biosafety level)4施設を稼働させることで合意したことについて、日医の見解を述べた。
国立感染症研究所村山庁舎は、1981年に一種病原体を取り扱うことのできるBSL4施設として整備されていたが、地域住民の理解を十分に得られず、実際にはBSL4施設としては運用できない状況であった。
しかし、海外では、BSL4施設の整備が進められ、全世界で約40カ所程度が稼働しており、主要先進8カ国(G8)の中では、日本のみが施設を利用できない状況であり、わが国の感染症対策の推進や感染症研究の障害にもなっていた。
それらのことを踏まえ、日医では、わが国においても、常に新興・再興感染症の発生・流行に備えた危機管理体制の確立が必要であることから、本年3月11日の定例記者会見で「BSL4施設の早期稼働を求める声明」を公表するとともに、5月29日の自由民主党国際保健医療戦略特命委員会において「BSL4施設に関する日本医師会の見解」を説明するなど、BSL4施設の早期稼動に向けて、さまざまな働き掛けを行ってきた。
今回、国と地域の間で、国立感染症研究所村山庁舎のBSL4施設を稼働させることで合意に至ったことについて、同常任理事は、「わが国の感染症対策の推進に資するものとして高く評価したい」と述べるとともに、藤野市長並びに武蔵村山市民の方々に対して敬意を表した。
また、今後の同施設の運営に当たっては、「BSL4施設としての稼働後も、地域住民の安全・安心の確保を最優先にすべきである」と述べるとともに、「地域住民の懸念を払拭(ふっしょく)できるよう、日医としても引き続き、情報公開や地元住民とのコミュニケーションを積極的にとることを政府に求めていく」との姿勢を示した。
BSL4施設とは
WHOのマニュアルでリスクグループ4に分類されるエボラウイルスなどの病原体を、十分な管理の下、安全に取り扱うことができ、それらに対するワクチンや診断方法、治療薬、治療方法の開発などを行うことができる施設。
|