日医ニュース
日医ニュース目次 第1297号(平成27年9月20日)

都道府県医師会だより

災害時 遺体検案への取り組み

―徳島県医師会―

遺体検案講習会の様子
 徳島県医師会は、平成24年より災害時遺体検案への会員全員参加に向け取り組んでいる。
 南海・東南海・東海地震が連動した南海トラフ地震による徳島県の被害想定は、最大で死者3万1300人、負傷者1万3400人、避難者31万人であり、迅速な避難、救助により被害を最小限に抑え、救護活動により防ぎ得た災害死を防止しなければならない。
 南海トラフ地震の被害は西日本の太平洋沿岸全域に及び、死者は33万人に上ると想定されることから、全国の救護班が中部地方や関西など人口密集地に集中するのは必然であり、地震発生から数日間、徳島県民は助け合い、避難者や傷病者を救護する体制を構築しなければならない。
 救援活動と同時に大量の死者の身元確認、遺体検案が重要な課題である。
 遺体検案は医師が死者にできる最後の医療である。災害に遭遇し、心ならずも亡くなられた方がどのような状況で亡くなられたか検案し、身元を確かめ、遺族に届けなければならない。災害時、大量の死者に対し法医学者や警察検案嘱託医師のみでなく、平時に遺体検案機会の少ない医師の積極的な参加が必須である。
 徳島県医師会は、会員による遺体検案に向け、徳島大学法医学教室の西村明儒教授の指導の下、平成24年より、(1)遺体検案講習会(2)死体検案DVD「死亡診断書、死体検案書の書き方マニュアル」の作成(3)災害時遺体検案シミュレーション研修会─を行っている。
 遺体検案講習会は、平成24年より2年間、(1)遺体検案の制度、死体現象について、(2)平時の検案要領、大規模災害時における検案に対する留意点と所見の取り方、(3)死亡診断書・死体検案書の書き方─を3回にわたり開催した後、総集編を別途開催した。
 この講習会は会員に好評で1回目から100人に及ぶ会員が参加、参加者には講習修了書を交付した。総集編を含め、3回の講習会修了会員が84人に達した。
 日医でも死体検案研修会を主催し、遺体検案への取り組みを推し進めている。徳島県医師会での講習会は、基本的な遺体検案知識の習得を目指し継続して受講してもらう計画で、本年は11月に開催する。
 死亡診断書、死体検案書の書き方マニュアルDVD(徳島大学法医学教室、西村教授監修)は、死体検案の実際、全身の観察、局所の観察、体液等採取法、死亡診断書・死体検案書の書き方からなり、実践的な教科書である。災害時の死亡時刻、死亡場所、死因分類等詳しく示しており、災害時を含め遺体検案に有用であり、医師会A(1)会員全員に配布した(DVDは別途購入可能で、連絡先は徳島県医師会事務局となっている)。
 また、県内の警察、医師会、歯科医師会合同の「災害時遺体検案研修会」を年一回開催している。災害時の遺体安置所を想定し、遺体の搬入・受け付け、検案、被災家族による本人確認、歯科的身元確認など、災害時遺体検案の実際を体験できる研修会である。研修会は医師会員が参加しやすい日曜午後、場所を順次変えて開催している。
 遺族支援については、「遺体対応・遺族支援研究会」を平成23年より毎年開催し、検討を重ねている。
 徳島県医師会は遺族支援に向け、災害時遺体検案に会員全員出動を目指している。

兵庫県医師会のテレビ会議システム

―兵庫県医師会―

兵庫県医師会
TV会議システム展開図
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 兵庫県はご承知のとおり、南は瀬戸内海・淡路島から北は日本海・城崎に至るまで、広大な面積と多彩な風土に彩られた県域となっており、県庁所在地で兵庫県医師会館のある神戸市に人が集まるだけでも多大な時間と労力を要する。それでなくとも多忙な先生方の費やす無駄を省くという意味で、「テレビ会議システム」の導入は必須のものだった。
 先行する日医や他地区の同様のシステムも参考にしながら、パーソナルレベルの簡易なものではなく、通常の委員会等での多地点接続や研修会のサブ会場への転送等に堪えられる、導入システムのテストを踏まえた選定を行い、平成22年6月の理事会決定をもって導入開始。兵庫県医師会と県下7拠点医師会を結ぶネットワークを順次拡大していった。
 専用機大画面によるハイビジョン画像とひずみ等のない音声交換で、日医方式よりもはるかに臨場感があり、各種委員会等にストレスなく活用できている。委員の先生方も地元の医師会への出務で済み、臨時休業にする必要もない。
 研修会等の画像音声転送によるサブ会場方式も実施しているが、NTT基地局も含めたシステムダウンも何度か経験してきており、当日の録画バックアップはもとより、それを別ルートからUstream Serviceにより流すことで、高価な二重化よりも簡易にサポートを実現してきた。
 今後は、個人タブレット端末の利用も含めた、より便利なアクセスへの拡充を、日医認証局の県医ローカルサーバー運用とも平行して検討中である。

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