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第1298号(平成27年10月5日) |
9月2・9日
飲酒及び喫煙年齢の引き下げ案の撤回を要求
横倉義武会長は、自民党の「成年年齢に関する特命委員会」が、民法上の成年年齢を20歳から18歳に引き下げることに伴い、飲酒及び喫煙の禁止年齢も18歳未満に引き下げることが妥当であるとの提言案を示したことに対し、「医療の専門家として、この提言内容は容認しがたい」と述べ、撤回を求めるとともに、同日、自民党の稲田朋美政務調査会長に申し入れを行ったことを報告した。
同会長は、飲酒が及ぼす影響について、「開始年齢が低いほどアルコール依存症になる確率が高くなり、記憶力へも影響することから極端な学習成績の低下にもつながると言われている」と強調。いわゆる“一気飲み”等による急性アルコール中毒で医療機関に搬送されるのは20歳代が最も多いものの、飲酒が認められていない10歳代も相当数に上っていることを挙げるとともに、政府が目指すアルコール健康障害対策推進の流れにも逆行すると異議を唱えた。
一方、喫煙については、「がんに限らず、脳卒中、心筋梗塞、COPD(慢性閉塞性肺疾患)等さまざまな疾病のリスクを増大させるなど、非感染性疾患による成人死亡の主たる要因であることは広く知られている。特に、肺がんの罹患率は喫煙年数に影響を受けるものであり、喫煙可能年齢の引き下げは喫煙年数の増加につながり、将来の肺がん罹患率の増大を招く恐れもある」として、未成年の喫煙習慣が健康に及ぼす悪影響の大きさを危惧した。
更に、WHO(世界保健機関)のたばこ規制枠組み条約の締結国としての使命や、政府が目指す国民の健康寿命の延伸とも反することを指摘した上で、「青年期の飲酒や喫煙の生活習慣は、その後の個々の健康にも大きく影響を及ぼすものであり、飲酒及び喫煙年齢の引き下げは、国民の健康の維持・増進という視点からも断じて容認できるものではない」と主張。
日医としては、今回の特命委員会の提言案に示す飲酒及び喫煙年齢の引き下げは認めることはできないとして、強く撤回を求めた。
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