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第1298号(平成27年10月5日) |
第3回医学生・日医役員交流会
「地域医療に医学生はどう貢献できるか」をテーマに議論
第3回医学生・日医役員交流会が9月2日、日医会館小講堂で開催された。
日医では、医学生向けの無料情報誌『ドクタラーゼ』を発行するなど、医学生を対象にさまざまな情報の提供を行っているが、本交流会は、その一環として、将来の医療を担う医学生と日医の役員が今後のわが国の医療制度とその問題について共に考える機会を持ち、医師会活動への理解を深めてもらうことを目的として開催しているもので、今回で3回目となる。
今村定臣常任理事の総合司会で開会。冒頭、あいさつに立った横倉義武会長は、日々進歩する医学・医療に対応していくため、医師の生涯教育にも力を入れていることなど、日医の取り組みを紹介。その上で、「わが国は今年で戦争終結から70年という節目を迎えたが、戦後の困難を乗り越え、経済復興を遂げた要因の一つとして、誰もが安心して働けるような社会保障体制、国民皆保険の確立が経済成長を下支えしたことが挙げられる」とし、経済格差によって受ける医療に格差を生じさせないためにも、公的保険制度による国民皆保険を継続すべきであり、それを守っていくことが我々日医の役割でもあると強調した。
【第1部】では、今村聡副会長が座長を務め、基調講演「今、なぜ『地域包括ケア』なのか? ─地域医療こそ今後の医療の主役─」と題して、迫井正深厚生労働省老健局老人保健課長が講演を行った。
迫井課長は、まず、日本の人口ピラミッドを示しながら75歳以上の高齢者が急速に増加している背景、いわゆる「2025年問題」について解説。急速な高齢化の進展と若年層の減少への対応が急務であるとした上で、「高齢者のケアニーズ(医療・介護・終末期)に対応した体制の整備こそが『地域包括ケアシステム』の考え方である」と説明した。
また、迫井課長は、地域包括ケアシステムを推進していく上での課題として「認知症」及び「高齢単身世帯及び高齢夫婦世帯の増加」を挙げ、「医療介護連携の推進には、日常生活支援のニーズに合わせた地域の支えが絶対的に必要である」と述べるとともに、「地域住民の生活視点」を重視した総合的なチーム医療の実践のためには“顔の見える関係”が重要であるとして、「医療関係者には積極的に多職種連携に努めて欲しい」と要望した。
【第2部】学生プレゼンテーションでは、「医学生は地域医療にどう貢献できるか」をテーマに、(1)児童問題研究会ひばり(香川大学)、(2)TEKISHI(大阪大学)、(3)地域医療研究部(鳥取大学)、(4)清水一紀(名古屋大学)、(5)大阪どまんなか、(6)ぎふ医療ケアサークル(岐阜大学)、(7)NARA IPECH(奈良県立医科大学)、(8)ジャパンハート 学生組織HEART's─の代表者らがプレゼンテーションを行った。
【第3部】グループワークでは、交流会に参加した19名の医学生が4つのグループに分かれ、各グループに石川広己・笠井夫・羽鳥裕・釜萢敏各常任理事が加わって、「医師の地域・診療科偏在」「多職種連携・チーム医療」などをテーマとして活発な意見交換が行われた。
引き続き行われた総評・表彰では、今村副会長が、「皆さんの若く柔軟なアイデアが医師会運営を活性化させ、わが国の医療の原動力となることを期待している」と総括した。
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