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第1298号(平成27年10月5日) |
北海道 旭医だより vol.135号より
LINEで繋(つな)がる家族の輪(?)
中島 康雄
皆さんの携帯はスマホですか? ガラケーですか?
今や少数派となったガラケーだが、私も先月まではガラケーだった。いや、正確に言えば今もガラケーは持っている。
会議などで予定を入れたり、確認したりする時に、周りの諸兄のほとんどがスマホを手に取り巧みな指さばきで使いこなしているのを横目で見ながら、手帳を取り出しボールペンで書き込んでいる自分に、何となく後ろめたさを感じていた。家族で一緒にいる時に、ガラケーを取り出しメールを打っていると、冷ややかな視線を感じたのは、私の思い過ごしだろうか。
家族で私以外は皆スマホである。子ども達のメールを打つ速さには、ただただ目を見張るばかりで、動画を見たり音楽を聞いたり、彼らにとってはまるで体の一部のように使いこなしている様子に、まあとても自分には無理と尻込みしていた。
昨年3月、進学をきっかけに子ども達は全員旭川を離れた。カミさんはLINEを使って、遠方の子ども達や友人と自由にやり取りしている。何となくお父さんだけが浮いているような、仲間外れになったような気がしていた。
7月に子どもの1人が留学で渡米することが決まり、これを機に思い切ってスマホを持とうと決心した。留学直前、上京した際に子ども達が一堂に会した席でスマホを見せた。皆一様に驚きの目で私を見つめ、早速取り上げガチャガチャいじり始めた。あっという間に待ち受け画面が子ども達が選んだ壁紙(ポール・マッカートニー)に変わり、それぞれの子ども達とLINEで繋がった。オヤジが気に入りそうなゲームや、LINEのスタンプまでインストールされた。操作を教えてもらいながら、これで仲間に入れてもらったようなホッとした安堵感を覚えた。早速、慣れない手つきで子ども達とLINEでのやりとりを始めた。時間はかかるが絵文字やスタンプを入れながら、オヤジだって頑張ってるんだぞっていうところを見せつけようと、結構必死である。
夏休みで息子がフィリピンに、1人の娘は九州に、もう1人は米国に、カミさんは出張で富山にと全員がバラバラになっていた時に、思い立って家族5人の友だちトークをLINEで送ってみた。フィリピンの息子は獰猛(どうもう)な蚊と戦っていること、米国の娘は時差ボケがなくなったこと、九州の娘は自動車免許を取得したこと、カミさんは富山で猛暑に悲鳴を上げている様子が写真付きで交わされた。
バラバラに散っている家族(しかも5人のうち2人は外国)が、LINEで繋がり、あたかも一緒にいるように会話しているのだ。不思議な体験だった。
やばいなあ、私もIT時代に流されつつあるのかなあ、なんて危機感を抱きながら、LINEもまんざらでもないと感じている今日この頃である。
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