「熊本地震」日本医師会・九州各県医師会によるTV会議が5月10日、日医会館会議室で行われた。
会議は、石井正三常任理事の司会の下に開会。冒頭あいさつした横倉義武会長は、支援活動に対する労をねぎらった上で、「今後の支援活動をどのようにしていくべきか、被災県のご意見も参考としながら協議したいと考え、会議を開催させてもらった。本日は実際の活動を基にしたご意見をぜひお聞かせ頂きたい」と述べた。
引き続き、被災県医師会の福田稠熊本県医師会長、近藤稔大分県医師会長及び蒔本恭長崎県医師会長(九州医師会連合会災害対策本部長)がそれぞれあいさつを行い、これまでの支援に感謝の意が示された。
その後は、まず、石井常任理事がJMATの派遣状況等を説明。更に、熊本・大分両県医師会からは現状の報告がなされた。
熊本県医師会からは(1)医療機関の被害状況調査を行った結果、1.地震発生の翌日(4月15日)には自宅が倒壊している人もいる中で、5~6割の医師は通常通り、医療機関に出勤していたこと2.医療機関の7~8割は通常の体制に戻っていること(5月10日現在)、(2)場所によって復旧の状況に違いがあり、特に被害の大きかった益城町には約4000名、南阿蘇にも1000名以上の避難民がいることなどが、大分県医師会からは、熊本に比べて被害は少なかったが、余震の影響により不安を感じながら県民は生活していること―などの説明がそれぞれなされた。
また、今後については、1.家に帰ることに恐怖を感じている人が多く、なかなか避難民の数が減らないこと2.今後はリハビリテーションや心のケアが大事になることから、保健所の機能をいかに高めていくか―等の課題が挙げられた。
更に、JMAT活動については、熊本県医師会より、現在活動している日赤などのチームが撤退した際の懸念が示され、当面はJMATの派遣維持体制を堅持することが確認された。
その他、医療機関の復旧に関する官民格差の是正、上下水道の整備を政府に進言して欲しいとの要望が出されたことに関しては、横倉会長が官民格差の問題は、羽生田俊参議院議員に厚生労働委員会で、その問題点を指摘してもらったことなどを説明。その上で、横倉会長は、「被災者健康支援連絡協議会を通じて今後も政府に要望していくので、具体的な要望事項を教えて欲しい」と述べた。
日医では、今後も適宜TV会議を開催し、被災地の現状を把握していくことにしている。
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日本医師会地域医療第1課 TEL:03‐3946‐2121(代)