勤務医のページ
平成30年度都道府県医師会勤務医担当理事連絡協議会が5月16日、日医会館小講堂で開催された。
勤務医担当の市川朝洋常任理事の司会で開会。冒頭、あいさつに立った横倉義武会長は、協議会での議題として挙げられている「医師の働き方改革」について、「地域医療の継続性と医師の健康への配慮とを、いかに両立させていくかが議論の要諦である」とした上で、日医では、会内に設置した「医師の働き方検討委員会」で報告書を取りまとめたこと、そしてその報告書等を基に、医療界が主体的に医師の働き方を検討し、その意見を集約することを目的として、会内に新たに「医師の働き方検討会議」を立ち上げたことを報告。「関係各団体並びに若手勤務医等の参画を得る中で、更なる検討を進めていく」として、本検討会議への期待感を示した。
更に、連絡協議会のもう一つの議題であり、4月から専門研修が開始された「新たな専門医の仕組み」については、「専門医の質の向上と同時に、国民に分かりやすい専門医のあり方を実現することが一つの大きなテーマである。日本専門医機構の総合診療専門医の位置づけについては、あくまでも学問的な部分を深めてもらいたい」とした。
また、医療提供体制のあり方としては、「日医が提唱する『かかりつけ医』を主体として進めることが重要であり、しっかりと日医かかりつけ医機能研修制度における研修を受けて欲しい」と述べ、一層の理解と協力を求めた。
最後に、横倉会長は、日医で作成したパンフレット『終末期医療 アドバンス・ケア・プランニング(ACP)から考える』を紹介するとともに、国民・医療関係者へのACPの考え方の周知・啓発に更なる協力を求めた。
議事に移り、藤井美穂北海道医師会常任理事が、平成29年10月に札幌市内で開催された「全国医師会勤務医部会連絡協議会」について報告(別記事参照)。
続いて、本年度の担当医師会である長崎県医師会の木下郁夫常任理事が、「明日の勤務医の働き方を考える~西洋医学発祥の地長崎からの提言~」をメインテーマとして、11月3日(土・祝)に長崎市内で開催予定であると説明した。
協議1「医師の働き方改革」について
引き続き、泉良平日医勤務医委員会委員長の司会の下、医師の働き方改革について協議が行われた。
始めに、市川常任理事が、「医師の働き方改革―国と日本医師会の取り組み―」と題して、厚生労働省と日医でそれぞれ行っている医師の働き方改革に関する三つの検討会について、検討内容及び進捗(しんちょく)状況等を説明。また、平成30年2月に厚労省の「医師の働き方改革に関する検討会」において取りまとめられた「中間論点整理」「医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組」について解説した。
また、松本吉郎常任理事が、会内の「医師の働き方検討委員会」において取りまとめた答申「医師の勤務環境改善のための具体的方策―地域医療体制を踏まえた勤務医の健康確保策を中心に―」について、その概要を説明し、「本答申が、プロフェッショナルオートノミーとして医療界が医師の働き方の議論を進める良い機会になることを期待する」と述べた。
事前に都道府県医師会から寄せられた、長時間労働の是正、医師の偏在対策、タスクシフティング等に関する意見・要望、出席者からの質問には、市川・松本(吉)両常任理事がそれぞれ回答を行った。
協議2「新たな専門医の仕組み」について
続いて、望月泉日医勤務医委員会副委員長の司会の下、松原謙二副会長が、新たな専門医の仕組みについて解説した。
4月から開始した専門医制度の大きな変更点は、(1)5都府県の専攻医数のシーリングをかけた、(2)全員が専門医の資格を取る必要がないことを改めて明らかにした一方、複数の領域(ダブルボード)をとっても構わないとした―ことである説明。更に、地域偏在、診療科偏在の改善に向けた追加の仕組み等、日本専門医機構でこれまで行ってきたさまざまな議論について、その経過とともに、現在の状況を改めて詳説し、その仕組みへの更なる理解を求めた。
また、専攻医の採用状況については、都道府県ごとに示された表を基に説明を行った。
事前に都道府県医師会から寄せられた、専門医資格の取得、総合医の養成、専攻医の採用結果等に関する意見・要望、出席者からの質問等には、松原副会長が、改めて日医の考えを述べるとともに、「本年4月から開始された仕組みは、まだまだ修正していかなければならないところも多いが、その都度、その改善に向けて迅速に対応していきたい」と述べ、一層の理解と協力を求めた。
最後に、今村聡副会長が総括し、協議会は閉会となった。