閉じる

令和6年(2024年)1月17日(水) / 「日医君」だより

「令和6年能登半島地震」災害対策本部会議(第3回)

 「令和6年能登半島地震」第3回災害対策本部会議が1月16日、日本医師会館でWEB会議により開催され、現地からは1.5次避難所や2次避難所への動きがある中で、JMATに求められる働きも変化しつつあることが説明された。

 冒頭、挨拶した松本吉郎会長は、JMATの派遣が15日時点で延べ865名となったことに謝意を示すとともに、1月12日に被災地域を視察したことを報告。「息の長い支援が必要であるとの思いを強くした」と述べ、現地の最新の状況を基に、いかなる支援に引き続き取り組むべきか、忌憚のない意見を求めた。

 現地の状況について報告した安田健二石川県医師会長は、JMATの派遣に感謝を述べた上で、積雪で思うように被災地に入れず、断水で本来の活動が難しい中、避難所の要介護者や子ども、妊婦などが、南部の1.5次避難所及び旅館・ホテルなどの2次避難所に移動するなど、フェーズが変わってきていることを強調。JMATは被災地の医療支援だけでなく、1.5次及び2次避難所における健康管理も求められているとした。

 続いて、秋冨慎司石川県JMAT調整本部員/石川県医師会参与/日本医師会統括JMATが地図を基に、(1)被害の大きい北部医療圏は活動範囲を広げているものの、雪に閉ざされて厳しい状況、(2)中部医療圏は能登中部保健医療福祉対策本部が設置され、被害状況も把握できつつあるが、断水状態が継続中、(3)2次避難者は日ごとに増えており、16日で2,000名を超える見込み、(4)JMATは全体で30~40チーム必要―であると説明。状況が安定している人は2次避難所に、要介護者や障害者は1.5次避難所から適切な施設に割り振ることとなっているが、介護度が高くても1.5次避難所から移す先が見つからない人が留め置かれている状況であるとした。

 JMATの調整については、石川県庁に設置された保健医療福祉調整本部の下に石川県JMAT調整本部があり、七尾市に調整支部が設けられているが、今後は七尾市の調整支部は縮小させ、穴水町に設ける能登北部調整支部を中心に調整を行っていくとともに、調整本部と同じく県庁内に1.5次及び2次の避難所支援を行う支部を設ける予定であるとした。

 また、南部に避難した患者を能登北部でのかかりつけ医に結びつけるべく、避難所でのオンライン診療の体制整備も進めるとし、JMATには南部で地元の医師の診療支援を行うなど、地域医療を守っていくための活動にも期待を寄せた。

 細川秀一常任理事は、石川県庁内の調整本部にJMATロジスティクスチームを立ち上げ、日本医師会職員も派遣されていることを報告。厚生労働省から発出された災害救助法関係の事務連絡を概説し、JMAT等救護班としての活動については、「人件費は災害救助費の賃金職員等雇上費(実費)として支弁され、 旅費・宿泊費(実費)、使用薬剤・治療材料及び破損医療機器の修繕に要した費用(実費)も災害救助費から支弁される」とした。

 長島公之常任理事は、発災後早期からオンライン診療に関して厚労省に働き掛けきたとし、厚労省の指定する研修を未受講であっても、通常診療が困難な被災地の医師はオンライン診療が可能となっていることを説明した。

 意見交換では、各医師会よりJMATとして赴いた際の課題が挙げられたが、熊本県医師会は、本部で具体的な派遣先を決められないか質すとともに、宿泊地からの移動時間の長さを指摘。これに対して、秋冨石川県JMAT調整本部員は、現地の詳細な状況は支部が把握しているとし、宿泊地については「息の長い支援とするためにも、インフラに支障がない地域で宿泊してもらいたい」と理解を求めた。

 また、派遣地域によって状況や求められる内容が大きく異なることから、事前に調整することの他、活動後の支部での報告をオンラインにすることなどの要望があり、七尾市の調整支部で対応に当たっている佐原博之常任理事は、「15日より支部での報告をなくし、穴水町であれば穴水町で報告してもらうよう変更した」と説明した。

◆令和6年能登半島地震 災害対策本部会議(※メンバーズルーム)
会議の映像・資料を掲載しています。
※日本医師会メンバーズルームへのアカウントが必要です。

戻る

シェア

ページトップへ

閉じる