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令和6年(2024年)2月28日(水) / 「日医君」だより

「令和6年能登半島地震」災害対策本部会議(第8回)

 「令和6年能登半島地震」第8回対策本部会議が2月27日、石川県、富山県、福井県及び東京都の各医師会がWEB会議で参加の上、日本医師会館で開催された。

 冒頭、あいさつした松本吉郎会長は、被災地の日本医師会災害医療チーム(以下、JMAT)の活動は徐々に減少してきているものの、今後も引き続きの援助が必要と指摘。今後のJMAT活動の適切な進め方を探る上で、有意義な話し合いが行われることを期待するとした。

 続いて、現地の状況について、安田健二石川県医師会長と秋冨慎司石川県JMAT調整本部員/石川県医師会参与/日本医師会統括JMATが説明を行った。

 安田石川県医師会長は、まず地震発生から今日までの8週間、松本会長を始めとする日本医師会執行部及び事務局、隣県である富山県及び福井県医師会、調整本部及び支部における統括機能を果たしている東京都医師会に対し、感謝の意を述べた。その上で、今週に入って県内のJMAT活動は減少しているものの、まだ当面の間は支援が必要な状態であると指摘し、引き続きの支援を求めた。また、JMAT活動の成果として、金沢以南の避難所において、多数の災害関連死が発生するのではないかと危惧されていたものの、JMATが避難所を巡回することにより、心不全患者を早期に救急搬送して心肺機能停止を防いだ事例が数多く報告されていることを紹介した。

 秋冨石川県JMAT調整本部員は、JMATが果たすべき役割として予防医学が増えてきていることを説明。能登半島北部から約6,000人が避難している金沢以南の避難所には高齢者が多く、その健康状態を把握、管理するのが難しいものの、JMATに携わる医療従事者の献身的な活動により、感染症の拡大を未然に防ぐ等の成果が上がっているとの認識を示すとともに、「1カ月を超える避難生活にもかかわらず、心肺機能停止事例の発生を防ぎ、小康状態を保てているのは各医師会の連携の賜物である」と述べた。

 一方、被害が大きかった珠洲市及び輪島市では、公立病院を始めとする地域医療の復旧が立ち遅れているばかりでなく、医療従事者が離職するケースが増加してきていることを指摘。医師の精神的負担も増大しており、寄り添った支援の継続が必要であるとした。

 また、今後の避難所運営に関する問題として「3.16問題」があると指摘。北陸新幹線が敦賀まで延伸される3月16日が、現在、避難所になっているホテル等の利用期限となっており、それ以降、避難者の避難先が決定していないことを問題視した。その上で、県は解決策案として、1.仮設住宅2.みなし仮設住宅(アパート等)3.公営住宅4.県外5.自宅・親族宅―への避難が示しているものの、被災地の地域医療はまだ復旧していないため医療需要に対応できるか不透明であり、自宅や親族宅に戻った場合、被災者の健康管理が行き渡らなくなるとの懸念を示した。

 引き続き、参加医師会から意見が述べられ、村上美也子富山県医師会長は、医療ニーズの推移に合わせた医療提供を行えるよう、各チームの連携を強める必要性を指摘。池端幸彦福井県医師会長は、3月16日以降、金沢以南の避難所がどのよう形態に移り変わるかを見極め、それ以降の支援について検討していきたいとした。また、新井悟東京都医師会理事は、3月以降も要請があれば、統括JMATを派遣し、被災地の地域医療の復旧に協力していきたいと述べた。

 佐原博之常任理事は七尾市の状況に触れ、断水が解消しつつあり、今後更に復旧が進めば宿泊施設等を二次避難所として利用できる可能性に言及。その一方で、避難所として利用されれば、金沢以南の避難所で起こっている問題が七尾市でも起こる可能性があるとして、地域医療の復旧を早期に進める必要があると強調した。

 また、秋冨石川県JMAT調整本部員からは、被災地でのJMAT活動について、その土地柄や医療ニーズ、求められる医療支援のあり方等を良く理解した上での参加が重要になるとの考えが示された。

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