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令和6年(2024年)6月20日(木) / 日医ニュース

感染性医療廃棄物の取り扱い等の諸課題の解決を目指して

感染性医療廃棄物の取り扱い等の諸課題の解決を目指して

感染性医療廃棄物の取り扱い等の諸課題の解決を目指して

 令和6年度都道府県医師会医療廃棄物担当理事連絡協議会が5月29日、日本医師会館とWEB会議のハイブリッド形式で開催された。
 冒頭あいさつで松本吉郎会長は、超高齢社会による在宅療養の推進や滅菌消毒等の技術進歩、SDGs等による環境問題への意識の高まりなどを受けて、医療廃棄物を取り巻く環境は年々変化していると指摘。本協議会については、「新型コロナウイルス感染症や令和6年能登半島地震での対応から、有事において、地域医師会や医療機関が医療提供体制の確保に専念できるよう、平時から感染性医療廃棄物の取り扱い等の諸課題を整理しておく必要があると考えた」と開催趣旨を説明し、「今回の内容が医療廃棄物に関する課題・情報を整理し、適正な処理に向けた取り組みの参考になれば幸いである」とした。
 引き続き行われた議事では、(1)医療行政から見た医療廃棄物~良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保とその先にある医療廃棄物について~、(2)医療機関から排出される廃棄物の適正処理について、(3)日本医師会からの報告―と題して、それぞれ説明が行われた。
 (1)では、中西浩之厚生労働省医政局地域医療計画課外来・在宅医療対策室長が、まず、「医療廃棄物は厚労省の所管ではないが、医療の提供と医療廃棄物はつながりがあり、そのことを意識して取り組んでいくことが必要であると考えている」と述べた上で、人口動態や医療需要の変化等といった医療提供体制を取り巻く状況や在宅医療と介護の連携、昨今では在宅自己注射指導管理料の算定が増加していること等を説明。「医療やケアを提供する際に必要な医療用器具の種類が増え、そのニーズも多様化する中で、各医療機関には在宅医療廃棄物に対する理解と適切な対処が、また、患者やその家族にも在宅医療廃棄物の取り扱いへの理解を深めることが今後ますます求められてくる」として、引き続きの協力を求めた。
 (2)では、切川卓也環境省環境再生・資源循環局廃棄物規制課課長補佐が、①感染性廃棄物②新型コロナウイルス感染症への対応③在宅医療廃棄物④水銀廃棄物⑤PCB(ポリ塩化ビフェニル)―について、処理状況や基準等を概説。
 ②では、コロナ禍においても、医療提供体制を維持するとともに国民生活を守るため、廃棄物の運搬や処理に携わる人々に対して、適正処理の他、現場の感染防止対策の徹底や廃棄物処理体制の維持を呼び掛けるリーフレットを作成したことを説明。また、③では、在宅医療廃棄物の処理に関する取り組みを推進するための手引きを、④では、医療機関等に退蔵されている水銀血圧計等の集中的な回収を促進するための啓発リーフレットを、⑤では、低濃度PCB廃棄物等の実態調査に関する手引きを、それぞれ作成していることなどを紹介し、その活用を求めた。
 (3)では、渡辺弘司常任理事から、①令和5年医療廃棄物に関する状況等調査②日本医師会の取り組み③感染性廃棄物処理業者が業務を遂行する上で抱えている課題―について報告が行われた。
 ①では、調査結果を報告するとともに、日本医師会に対する要望として、医療廃棄物関係のパンフレットの作成や違反事例等の公表、説明会の開催などがあることを紹介し、会内で対応を検討していることなどを明らかにした。
 ②では、講習会の共催、ガイド・リーフレットの作成、アンケートの実施の他、行政と連携して文書を発出したり、日本産業廃棄物処理振興センターと協力して普及啓発に努めていることなどを説明。また、水銀使用製品やPCB廃棄物の回収促進についても、引き続きその周知に努めていくとした。
 また、③では、廃棄物の詰め過ぎや回収頻度などのトラブルがあると説明した上で、オブザーバーとして参加した日本産業廃棄物処理振興センターからは、処理業者から「感染性廃棄物容器に関連したトラブルが非常に多く、改善されない」といった声が寄せられているとの報告を受けていることを紹介し、その改善に向けた協力を求めた。
 その後の協議では、「処理業者に対する統一された指導」「災害等による被災地の医療廃棄物の処理」「閉院後に出てきた医療廃棄物の最終責任者の所在」「優良事業者の選定目安や公表」などに関する意見や質問が出され、厚労省や環境省よりそれぞれ回答がなされた。
 最後にあいさつした渡辺常任理事は、「平成27年以来の開催となったが、医療廃棄物に関する取り組みは更に進めていかなければならず、継続して検討していきたい」として、引き続きの協力を求め、協議会は終了となった。

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