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令和6年(2024年)6月19日(水) / 「日医君」だより / プレスリリース

学校健康診断に関する報道について

 渡辺弘司常任理事は6月19日の記者会見で、毎年度6月末までに行うこととなっている学校健康診断(学校健診)について、さまざまな報道がなされていることに対し、日本医師会の見解を示した。

 渡辺常任理事は、まず、「学校現場において、学校医は健康診断、健康相談、がん教育など学校保健のさまざまな領域で関わっているが、児童生徒、保護者、学校側は学校医に対し、さまざまな気持ちを抱いているのではないか」と述べ、そうした心配や疑問等に対する、日本医師会の考えを説明するとした。

 その上で、小学校の健康診断において、学校医が児童生徒の二次性徴に関する診察として下腹部の診察を行ったという件に触れ、学校健診に関するマニュアルである「児童生徒等の健康診断マニュアル」に、健診時に注意すべき疾病及び異常として思春期早発症について言及があることを説明。当該医師は小児内分泌の専門医であり診察を行ったことの医学的な妥当性はあるものの、一般的な学校健診では児童生徒全例に二次性徴の診察を実施することは想定されていないことから、保護者への事前説明や、学校管理者と学校医の連携・共通認識と共通理解が必要であったとの見方を示した。

 次に、通常の診療と学校健診の違いについて解説。通常の診療は基本的に、患者自身が良いと思った医療機関、医師を選んでおり、患者と医師の診療契約の基に診療が行われるため、情報共有と共通理解が得やすい他、プライバシーの保護も保証されており、診察部位について予測や納得がしやすく、かかりつけ医の場合は安心感もあるとした。

 一方、学校健診については、児童生徒や保護者が学校医を選ぶことはできず、知らない医師に診てもらうことになるため、児童生徒が心配になる気持ちも理解できるとした上で、プライバシーの保護に関しても、医療機関とは環境が異なり、子どもが周りの目を心配するのは当然だとの見方を示した。

 更に、学校健診の目的が、学校生活を支障なく送るためのスクリーニングであることを強調し、「限られた時間の中で、児童生徒の身体にどこか悪いところがないか、その手がかり、兆候を問診、視診、触診、聴診で探すという性格のものだ」と述べ、そうした違いを保護者にも学校にも、そして学校医にも理解してもらう必要があるとした。

 学校・教育委員会から医師に学校医の就任を依頼する流れについても言及し、地域の医師会を通して医師会員に学校医を依頼をした場合には、事前に医師会から当該医師に対し指導・助言をすることが可能であるものの、医師会が関わっていない場合には、学校側からプライバシーや健診項目に関する説明をする必要があると指摘。ただし、医師会が学校医を紹介できず、学校等から医師に個別に依頼した場合については、学校医に対する遠慮から意見を言い難い状況が発生している場合もあるのではないかと推測した。

 渡辺常任理事は、このような現状を踏まえ、本年5月に発刊した、学校医の業務がどういうものか、どういうことを理解し配慮する必要があるか等を記した『学校医のすすめ~そうだったのか学校医』の活用も含め、学校医が業務に関して配慮すべき内容を理解できる仕組みを考える必要があるとして、文部科学省との協議を早急に進めるとした。

 最後に、「基本的に、法令に定める項目以外の健診項目を実施する場合や、プライバシーや心情に関わるようなケースでは、事前に学校を介して保護者に説明し同意を得ておく必要がある」と改めて強調し、日本医師会として、児童生徒、保護者が安心して学校健診を受けることができるよう、関係機関と連携して取り組んでいく姿勢を示した。

◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

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