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令和6年(2024年)7月5日(金) / 日医ニュース

外来・在宅ベースアップ評価料と医療DX推進体制整備加算の届出のポイントを伝達

外来・在宅ベースアップ評価料と医療DX推進体制整備加算の届出のポイントを伝達

外来・在宅ベースアップ評価料と医療DX推進体制整備加算の届出のポイントを伝達

 都道府県医師会社会保険担当理事連絡協議会が、外来・在宅ベースアップ評価料(以下、ベースアップ評価料)と医療DX推進体制整備加算(以下、DX推進加算)の届出に関するポイントを伝達することを目的として、6月6日に日本医師会館でWEBセミナー形式で厚生労働省との共催により開催された。
 冒頭、本協議会の目的を説明した長島公之常任理事は、まず、「令和6年度の診療報酬改定で新設されたベースアップ評価料は、職員の賃上げによる医療機関の人材確保、DX推進加算は医療DXの費用負担の軽減に大いに資するものであり、できるだけ多くの医療機関で算定して頂きたい」と強調。届出・算定が少ない場合、次回改定に影響が出る懸念もあるとした上で、届出の最大のハードルとなっている書類の作成等について実際に役立つよう、踏み込んだ説明を行うとした。
 ビデオメッセージであいさつを行った武見敬三厚労大臣は、「今回の診療報酬改定の中でも、特に賃上げと医療DXの推進は重要な課題となっている。バブル崩壊後の約30年間続いたデフレからの脱却は、岸田内閣の最優先課題であり、そのためには持続的な賃上げが欠かせない」と説明。近年、産業界全体で賃上げが進み、診療報酬を主な収入源とする医療機関でも賃上げが必要とされる中、ベースアップ評価料を新設するとともに、初・再診料、入院基本料等の引き上げを行ったとした。
 また、厚労省として、できるだけ多くの医療機関にベースアップ評価料を算定してもらい、初・再診料等の引き上げ分と併せて賃上げを進めて欲しいという考えの下、説明会やオンラインセミナーの開催、支援ツールの提供などを行ってきたことを紹介。届出の準備が間に合わないという現場からの声に応え、ベースアップ評価料(Ⅰ)を6月から算定する場合の届出期限を6月21日まで延長する対応を取ったことを説明した。
 その他、マイナ保険証の利用状況にも言及し、利用率の更なる底上げが必要との見方を示すとともに、患者への利用の声掛け等について医療機関における協力を求めた。

賃金改善計画書の記入方法等を解説

 眞鍋馨厚労省保険局医療課長からは、特に作成が難しいとの指摘が多い賃金改善計画書の記入方法について、厚労省が公開している「ベースアップ評価料賃金改善計画書計算ツール」を利用した手順を、実際の入力画面を示した動画(厚労省ホームページで公開中)を用いて解説。「届出を作成される方には繰り返しご覧頂き活用して欲しい」と述べるとともに、仮に6月からの算定に間に合わない場合でも、7月からの算定は可能であるとして、積極的な算定を呼び掛けた。
 次に、DX推進加算の算定要件について説明を行い、6月からマイナ保険証や電子処方箋(せん)などの医療DXを推進する体制を評価する同加算が新設されたとした上で、必要となる五つの施設要件を列挙。そのうち6月から必須となるものは①マイナ保険証での取得情報を診療室で使用できる体制②マイナ保険証の利用勧奨の掲示―だけであることや、それ以外の「電子処方箋を発行できる体制」などの要件については、経過措置等が設けられていることを強調した。
 また、②に関しては、「マイナ保険証を促進する等、医療DXを通じて質の高い医療を提供できるように取り組み、その旨を医療機関・薬局内の見やすい場所に提示すること」とされていることから、一枚でこれらの要件をまとめて満たすことができるポスターを、患者配布用のチラシとともに厚労省で用意しているとして、その活用を呼び掛けた。

問い合わせの多い事項について解説

 続いて、長島常任理事から実務的な解説が行われた。
 まず、5月20日に厚労省が開催した「診療報酬オンラインセミナー」の動画について、本協議会と併せての視聴を要請。その上で、現時点で最も多い質問は、ベースアップ評価料の施設基準における「専ら事務作業を行うもの」の定義についてであり、「事務作業だけでなく、看護補助など患者のサポートを通じて医療に従事する業務を行う方については、″その他医療に従事する職員"として対象職員に該当する」と回答。ベースアップ評価料の算定分を原資として賃上げを行うことができるとし、特に、診療所における事務職はそのほとんどが該当するのではないかとの見方を示した。
 次に、ベースアップ評価料による賃上げに関しては、賃金改善計画書の記載例について、「例えば『ベースアップ評価手当』というものを新設し、毎月決まった額を従来の基本給に上乗せして支給することが最もシンプルなやり方ではないか」と述べ、このような対応を行う場合の賃金規程への記載例を示すことも検討しているとした。
 DX推進加算については、届出書のチェック欄が10項目もあるが、6月時点では1、2、3、9の4項目のみチェックして届出すれば算定できることを説明し、経過措置となっている他の項目も含め、それぞれに必要な対応を概説した。
 その後、事前に寄せられた都道府県医師会からの質問に対して、長島常任理事と眞鍋厚労省保険局医療課長が回答を行った。
 最後に、総括を行った長島常任理事は、「ベースアップ評価料とDX推進加算がなるべく多くの医療機関で算定してもらえるように、できるだけ分かりやすく、また踏み込んで説明をさせて頂いた」と述べ、ここでしっかり届出・算定がなされないと、次回改定の財源確保が困難となることも考えられるので、会員に周知するよう要請した。
 なお、本協議会の映像や資料はメンバーズルームに掲載されているので、ご活用頂きたい。

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