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令和6年(2024年)9月20日(金) / 「日医君」だより / 日医ニュース

盛山文科大臣に学校保健の更なる充実に関する要望書を提出

左から坂本常任理事、盛山文科大臣、松本会長、渡辺常任理事左から坂本常任理事、盛山文科大臣、松本会長、渡辺常任理事

左から坂本常任理事、盛山文科大臣、松本会長、渡辺常任理事左から坂本常任理事、盛山文科大臣、松本会長、渡辺常任理事

 松本吉郎会長は8月21日、渡辺弘司、坂本泰三両常任理事と共に文部科学省を訪れ、学校保健の更なる充実に関する要望書の他、会内の令和4・5年度学校保健委員会の答申や、同委員会が作成した冊子『学校医のすすめ』などを盛山正仁文科大臣に提出した。
 会談ではまず、松本会長が要望書の趣旨を説明。わが国の将来を担う子ども達の健康を増進する学校保健の重要性を踏まえ、(1)学校健康診断の在り方に関する検討、(2)健康教育の推進、(3)教師の働き方改革推進と教育の質向上―に関する提案・要望を行った。
 具体的には、(1)では、現在実施されている健診項目は社会的状況に見合ったものとなっているか検討するとともに、それぞれの項目について健診を行う意義を明確にすることを提案した。
 (2)では、児童生徒が将来にわたって健康を意識した行動を取れるよう、次期学習指導要領と解説を人生100年時代における健康リテラシーの向上の観点から改めて整理するとともに、管理職を含む関係教員の研修機会の充実や、学校医等の外部講師の活用に係る予算の確保の検討を求めた。
 (3)では、教師の働き方改革について、具体的施策の実施状況、時間外在校等時間、教師の健康状態を見つつ、継続的かつ確実に推進する必要があるとした上で、その改革は、子どもの将来のため、教育の質向上に資するものとなることを求めた。
 また、そのためには、学校現場の教職員の処遇や定数の大幅な改善ばかりでなく、教員養成系大学の教職員や、国や地方自治体において教育行政に携わる公務員など教育に関わる人員の抜本的拡充、インフラ整備など、大きく踏み込んだ施策を実行するための予算の確保が不可欠になると強調した。
 松本会長の説明後、中央教育審議会の委員でもある渡辺常任理事が補足説明を行い、昨今大きな課題となっている健診時の脱衣の問題に関して、「さまざまな考え方はあるものの、国が基本的な考え方を明確に示し、認識の共有を図っていく必要があるのではないか」と指摘。
 更に、「教員の働き方改革については、教員が元気でなければ子ども達により良い教育を行うのは難しい」との見方を示し、今後は、教員の休職率の改善など目に見える成果が求められるとした。
 また、坂本常任理事は、労働安全衛生法で選任義務のない小規模の学校を始め、学校では産業医を置くことが難しい現状を紹介し、産業医配置のための補助等を求めた。
 これらの要望に対して盛山文科大臣は一定の理解を示し、学校健康診断については、時代に合わせた見直しは必要として、関係省庁とも連携しながら対応していくとするとともに、その際には実施する側の負担軽減も図っていく必要性もあるとした。
 また、教員の働き方改革に関しては、現在働いている教員の心身の健康とともに、これから教員を志望する人についても、労働環境を理由に採用試験を敬遠することがないように、対応を進めていく考えを示した。

令和6年8月21日
文部科学大臣
 盛山正仁先生
日本医師会??
会長 松本吉郎
学校保健の更なる充実のための提言と要望

 貴職におかれましては、わが国の将来を担う子ども達の健康を増進する学校保健の重要性を踏まえ、下記についてお力添えを賜りますようお願い申し上げます。


1.学校健康診断の在り方に関する検討
 現在実施されている健診項目は社会的状況に見合ったものとなっているか、それぞれの項目について健診を行う意義を明確にするとともに、ご検討下さるようお願い申し上げます。

2.健康教育の推進
 現在学校では鋭意健康教育に取り組まれていますが、児童生徒が将来にわたって健康を意識した行動を取れるよう、次期の学習指導要領と解説は、人生100年時代における健康リテラシーの向上の観点から改めて整理頂くとともに、管理職を含む関係教員の研修機会の充実や、学校医等の外部講師の活用に係る予算の確保につき、ご検討下さるようお願い申し上げます。

3.教師の働き方改革推進と教育の質向上
 教師の働き方改革は、具体的施策の実施状況、時間外在校等時間、教師の健康状態を見つつ、継続的かつ確実に推進する必要があります。更にその改革は、子どもの将来のため、教育の質向上に資するものであるべきです。
 そのためには、学校現場の教職員の処遇や定数の大幅な改善はもちろん、教員養成系大学の教職員や、国や地方自治体において教育行政に携わる公務員など教育に関わる人員の抜本的拡充、また必要なインフラ整備など、大きく踏み込んだ施策実行のための予算の確保が不可欠です。

以上

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