日医ニュース
日医ニュース目次 第1231号(平成24年12月20日)

勤務医のページ

平成24年度都道府県医師会勤務医担当理事連絡協議会
勤務医の組織率向上に向け具体的方策を議論

勤務医のページ/平成24年度都道府県医師会勤務医担当理事連絡協議会/勤務医の組織率向上に向け具体的方策を議論(写真) 平成二十四年度都道府県医師会勤務医担当理事連絡協議会が十一月三十日,日医会館小講堂で開催された.
 勤務医担当の小森貴常任理事の司会で開会.冒頭あいさつした横倉義武会長は,「日医の政策実現のためにはすべての医療関係者が,あらゆる立場を超え,一丸となって取り組まなければならない」とした上で,「本日は,勤務医の組織率の向上,ひいては医師の大同団結に向けて,活発なご議論をお願いしたい」と述べた.
 議事に移り,まず,佐藤博彦愛媛県医師会常任理事が,本年十月六日に松山市内で開催された「全国医師会勤務医部会連絡協議会」について報告別記事参照.また,協議会後に,日医の勤務医委員会等での検討を経て取りまとめられた「愛媛宣言」(別掲)の内容についても説明し,その実現に対する協力を求めた.
 続いて,次年度の担当県である岡山県医師会の丹羽国泰会長が,次回は「勤務医の実態とその環境改善―全医師の協働にむけて」をメインテーマとし,十一月九日に岡山市内で開催予定であるとして,そのプログラムを詳細に説明した.

シンポジウム─三府県が取り組みを報告

 引き続き,泉良平勤務医委員会委員長(富山県医師会副会長)の司会の下,シンポジウム「勤務医の組織率向上に向けた具体的方策」が行われた.
 今村聡副会長は,組織全体の発言力・実現力を増し,国を動かしていくためにも組織力の強化が不可欠だと強調.そのための取り組みの一環として,「日本医師会臨床研修医支援ネットワークの立ち上げ」「『ドクタラーゼ』」の刊行」等を行ったことを説明するとともに,勤務医からの意見を基に,「勤務医の健康支援に関するプロジェクト委員会」や「死亡時画像病理診断(Ai)活用に関する検討委員会」が発足したことを紹介.「そこでの検討の結果が,厚生労働省での医師の労働環境改善に向けた検討の開始や『死因究明等の推進に関する法律』の成立につながった」とした上で,「勤務医の先生方には,ぜひ日医の場を活用して,自身の考えを具現化して欲しい」と述べた.
 上田真喜子大阪府医師会理事は,昭和四十八年に,国内初の勤務医部会として設置された,大阪府医師会勤務医部会の活動状況を説明.「勤務医の医師会活動参加へのモチベーションを高め,維持するには,開催時間への配慮や欠席時への対応はもちろん,勤務医自身が活動への参加が有意義であると実感出来るようなテーマの設定,アクションプランの企画などが重要になる」とした.
 妹尾栄治兵庫県医師会常任理事は,勤務医個人の意見を反映させるために,研修医や専攻医を対象とした新たな組織(勤務医医師会)の立ち上げを検討していることを説明.勤務医医師会の設立は,兵庫県医師会が県下唯一の医師の代表機関であるためにも必要なことだとした上で,再来年以降の設立に向けて来年四月にまずは兵庫県研修医会を発足させる予定であることを明らかにした.
 中村一彦鹿児島県医師会常任理事は,(1)医師不足対策基金からの研修医への生活援助資金の支給(年間六十万円)(2)各会合等での医師信用組合,勤務医生活協同組合の案内―等,組織率向上に向けた鹿児島県医師会の取り組みを紹介.組織率が九〇%以上の高さを維持出来ている理由については,「大学の医局と県医師会の関係が深い等,鹿児島県独自の特殊性があるのではないか」と述べた.
 その後の議論では,医師会加入のメリットや大学医師会等との関係などについて,活発な意見交換が行われ,組織率向上のための方策については,「医師会が開業医だけの団体ではないことをもっとアピールすべき」「医師会活動の魅力を医師会側から発信すべき」「日医生涯教育制度を積極的に活用すべき」など,さまざまな意見が出された.
 最後に,小森常任理事が,「全ての医師が団結し,一つの旗の下に集うことが大事だと考えており,本日頂いたご意見やご要望を今後の会務運営に生かしていきたい」とあいさつし,協議会は終了となった.

愛媛宣言

 勤務医に関する問題として,劣悪な労働環境,絶対的な医師不足,勤務医の地域や診療科ごとの偏在化,医療の高度化・複雑化と情報の氾濫による医師─患者関係の変化などがあげられる.
 しかし,これまで実施されてきた勤務医に関する政府の施策は,地域や医療機関それぞれにおいてその問題点が異なるため,勤務医個々にまでその効果が及んでいるとはいえない.
 このような現状の中で,勤務医はそれぞれの地域で,その特性に合わせた方法を用い,すべての医療従事者,住民,行政とともに急性期から慢性期,そして介護を含めた医療を平時のみならず災害時においても支え続けている.
 この状況を顧み,今後の医療の新たな展開に向けて,政府に対して以下の要望を宣言する.

一,勤務医として,男性,女性の別なく,仕事と生活の調和がとれる労働環境の整備,さらに女性医師の能力の発揮を可能とするような労働環境の実質的な推進.
一,医療には不確実性があるにもかかわらず,勤務医には常に高い要求が課せられており,そうした状況に立ち向かう勤務医を守るための,勤務医の実質的な処遇改善による勤務医数の増加とさらなる制度整備.
一,勤務医に関する問題の解決方法において,それぞれの地域が固有に持つ問題点に合致した施策が実施されるための,地域の医師会と協働した,地域医療の実態を示す統計の様々な角度からの検討と把握.

平成24年10月6日

全国医師会勤務医部会連絡協議会・愛媛

このページのトップへ

日本医師会ホームページ http://www.med.or.jp/
Copyright (C) Japan Medical Association. All rights reserved.