日医ニュース
日医ニュース目次 第1257号(平成26年1月20日)

勤務医のページ

平成25年度都道府県医師会勤務医担当理事連絡協議会
「医療事故調査制度及び新しい専門医制度」をテーマに

勤務医のページ/平成25年度都道府県医師会勤務医担当理事連絡協議会/「医療事故調査制度及び新しい専門医制度」をテーマに(写真) 平成二十五年度都道府県医師会勤務医担当理事連絡協議会が昨年十一月二十九日,日医会館小講堂で開催された.
 勤務医担当の小森貴常任理事の司会で開会.冒頭あいさつした横倉義武会長は,これまで,勤務医の就労環境整備の重要性について主張してきた結果,次期医療法改正で「医療勤務環境改善支援センター(仮称)」を全都道府県に設置する旨が盛り込まれる予定になったことを報告.その上で,昨年九月,会内に新たにワーキンググループを設置し,医師会の組織力強化に向けた新たな取り組みの検討を始めたことを説明し,「勤務医の勤務・労働環境改善の実現に向け,全ての医療関係者があらゆる立場を超え,一丸となって取り組まなければならない」として協力を求めた.
 議事に移り,まず,清水信義岡山県医師会副会長が,十一月九日に岡山市内で開催された「全国医師会勤務医部会連絡協議会」について報告別記事参照.また,協議会で取りまとめられた「岡山宣言」の内容についても説明し,その実現に対する協力を求めた.続いて,次年度担当県である神奈川県医師会の澤井博司副会長が,次回は「地域医療再生としての勤務医〜地域医療における病院総合医の役割〜(仮)」をメインテーマとし,平成二十六年十月二十五日に横浜市内で開催予定であるとして,そのプログラムを詳細に説明した.
 引き続き,泉良平勤務医委員会委員長(富山県医師会副会長)司会の下,シンポジウム「医療事故調査制度及び新しい専門医制度」が行われた.

医療事故調査制度の主なポイントと今後の課題

 高杉敬久常任理事は,「医療事故調査制度のその後の動き」と題して,昨年十一月八日に社会保障審議会医療部会において了承された,厚生労働省の医療事故に係る調査の仕組み等のあり方に関する検討部会報告書「医療事故に係る調査の仕組み等に関する基本的なあり方」(昨年五月に公表)及びその論点等について説明を行った.
 同常任理事は,本報告書について,日医会内の医療事故調査に関する検討委員会(プロジェクト)答申「医療事故調査制度の実現に向けた具体的方策について」(昨年六月に取りまとめ)の内容が,ほぼ反映されたものとなっており,医療事故調査制度に関する基本的な理念は,日医と厚労省で「ほぼ一致している」と強調.
 医療事故調査制度の主なポイントとしては,「調査対象となる事例が発生した場合,院内調査を最優先とする」「第三者機関への届け出については,原則行うこととし,第三者機関から行政機関への報告は行わない」「第三者機関は独立性・中立性・透明性・公正性・専門性を有する民間組織として設置する」こと等があるとした.
 更に,院内調査の手順については,第三者機関への届け出を含め,今後,厚労省においてガイドラインを策定することとなっており,「ガイドライン策定の際には,医師会及び医療界の意見を十分取り入れるよう強く要望し,検討に加わることを確約している」と強調するとともに,今後の課題としては,第三者機関の財源問題,調査報告書の二次利用等を挙げた.
 その上で,同常任理事は,「院内事故調査委員会を有機的に機能させ,患者や遺族にきちんと説明することが,我々医療者の務めであり,我々が自律的に取り組むことが重要なポイントとなる」とするとともに,「医療事故は,個人への責任追及から組織での対応への転換を図るべき」として,本制度の早期実現に向け,引き続き取り組んでいく意向を示した.

福岡県におけるモデル事業事例報告

 上野道雄福岡県医師会常任理事は,県医師会が行っている「診療行為に関連した死亡の福岡県医師会調査分析事業(福岡方式)」について,県内の大学・病院協会等の協力の下,全ての医療機関が参画出来る体制を構築し,当該病院に対し,モデル事業の登録支援や調査分析支援(医師と看護師)チームの派遣等を行っていることを紹介するとともに,これまで対応したモデル事業を報告.「どんな専門医であっても,自らの手元で患者が亡くなった場合,きちんとした判断が出来なくなる.その時に,専門委員による審議と剖検が,医師や関係者を救うことになる」とした他,「今後の課題としては,剖検の取得が困難な事例への対応などがある」と述べた.

新しい専門医制度における日医生涯教育制度の活用

 小森常任理事は,「新しい専門医制度」と題して,厚労省「専門医の在り方に関する検討会」が取りまとめた報告書について説明.「新たな専門医に関する仕組みはプロフェッショナルオートノミーを基盤とすること」「専門医の認定・更新に当たっては,日医生涯教育制度を活用すること」等が明記された他,「医師会の関与について多数触れられており,相当程度,日医の意見を盛り込むことが出来た」として,これを評価するとともに,本報告書を踏まえ,専門医の認定と養成プログラムの評価・認定の二つの機能を担う第三者機関の設置に向けて,現在,日医,日本医学会,全国医学部長病院長会議,四病院団体協議会,日本専門医制評価・認定機構とで構成される,「日本専門医機構」組織委員会で議論していることを報告した.
 その上で,同常任理事は,「かかりつけ医こそが,深い専門性と総合的な診療能力を持ち,幅広い視野で地域を見る医師である」として,今後,かかりつけ医機能をより向上させるためにも,日医生涯教育制度を更に進化させる意向を示すとともに,総合診療専門医の認定・更新において日医生涯教育カリキュラムは大きなファクターになるとされていることから,養成プログラムや研修についても,引き続き協力していきたいとした.
 その後,シンポジストと参加者との間で活発な質疑応答が行われた.

このページのトップへ

日本医師会ホームページ http://www.med.or.jp/
Copyright (C) Japan Medical Association. All rights reserved.